訪問時に役に立つ ケアマネジャーが知っておきたいヤングケアラーの基礎知識
水曜日, 12月 6th, 2023
令和6年度の介護報酬改定における改定事項について、居宅介護支援における特定事業者加算の見直しが行われます。
特定事業所加算1・2・3・Aの全てについて、月の単位数がアップされています。
また、 居宅介護支援における、多様化・複雑化する課題に対応するための取り組みを促進する観点から、ヤングケアラー、障害者 生活困窮者、難病患者などに関する事例検討会、研修などに参加していることを要件するとともに評価の充実を行うことが追加されています。
今回は、今何かと注目されている「ヤングケアラー」について紹介していきたいと思います。
ヤングケアラーとは
ヤングケアラーとは、簡単に言えば、大人の代わりに家族の介護や兄弟の世話を担う18歳未満の子供のことです。
ヤングケアラーがケアする相手で最も多いのが、中学生で全体の6割、高校生が4割程度を占めています。
大人の代わりに家族の介護や兄弟の世話を担う子供は昔からいましたが、ただそれに関しては、当たり前のこととして処理されていた時代背景があり、子供にも人権らしきものはありませんでした。
ヤングケアラーの語源
ヤングケアラーの語源は比較的新しく、1990年代前半にイギリス国内の関係者で使われ始め、ソウルベッカーが1993年に発表した15人のヤングケアラーの調査結果で、社会的な関心が集まるようになり、一般の人々にも広く知れ渡るようになったと言われています。
ヤングケアラーができること
ヤングケアラーが行っている家事や家族の世話は多岐にわたりますが、一般に多いのは食事の準備や掃除洗濯といった、家事、見守り、兄弟の世話、目の離せない家族の励ましなどの感情面のサポートなどです。
ヤングケアラー が増える理由は?
日本でなぜヤングケアラー 増えるのか、ヤングケアラー 増加の原因としては、ケアを必要とする高齢者が増えるのに対し、子供の数は減少し、さらに共働きにより両親が家にいないという家庭が増えているからです。
これにより高齢者を子供が介護することが増えています。
ヤングケアラー の問題点
彼らの問題点は、祖父母や親のケア、兄弟の世話に追われて、学校生活や進路選択に支障が出るという点にあります。
また、ヤングケアラーの問題が表面化した背景として、離婚率の増加、専業主婦の減少、 核家族化、 地域住民との関係性の崩壊などが挙げられています。
ヤングケアラー の問題の大きな課題点
ただ、ヤングケアラーと言っても実際にはなかなか見つけ出すのはなかなか難しいのが現状です。
なぜなら、ヤングケアラー問題の大きな課題点は、自分が当事者であることを自覚していない子供が多いからです。
例えば、 ソーシャルワーカーの整備や福祉サービスの拡充を行ったとしても、 当人である子供たちが そのサービスの存在を認知せず、また自分が不当な環境にいることさえ 疑問を抱かなければサービスを利用しようと思わないと思います。
地方自治体などが相談窓口などを設置したが、ヤングケアラー 当事者からの相談が0件だったのも納得できます。
ヤングケアラー問題の改善策
今後の対策としては、今あるコミュニティや支援策を活かして、実践的なサポートにつなげていくことにあります。
例えば、学校におけるヤングケアラー 講習、アンケート調査、スクールカウンセラーによるヤングケアラーのサポート拡充、衛生委員や児童委員、地域住民が一体となって地域の子どもたちを見守るなど様々です。
ヤングケアラーは、家庭内の問題とされ、家庭に立ち入ることには大きな抵抗もありますが、日本の開かれ 持続可能な社会に向けて子供たちが自ら学び 遊び 選び取ることができる 当たり前な日常を過ごすことは非常に重要です。
そして、最終的には、学校生活や家族、近所との関係で、子供の心の成長を育み、将来の自己実現につなげていくことが目標になります。
ヤングケアラーに関する入門書
ヤングケアラーについては簡単に紹介しましたが、さらに知識を深めたい方のために、ヤングケアラーに関する本について紹介したいと思います。
今回紹介したいのは、日本ヤングケアラー協会の先駆者である澁谷智子さんの本です。
渋谷さんは世界に先駆けてヤングケアラーの存在に気づき、 実際調査と支援を約30年行い、様々なイギリスの事例を経験しています。
本の内容としては、ヤングケアラーとは何かといった基本的なことから、当事者の子供たちの声、問題点や サポートのあり方までを論じているので、ヤングケアラーに関する入門書として、全体像をつかむのに非常に役立つ本だと思います。
ヤングケアラー 介護する子供たち
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世間一般にヤングケアラーの認知を高め、結果として、政府や自治体に実態調査の実施や支援条例の制定を促すなど社会的に大きなインパクトを与えたのが毎日新聞に掲載されていた「ヤングケアラー幼き介護」です。
この報道を再構成し 1冊にまとめたのがこの本です。
ヤングケアラー たちの介護の実態をインタビューから再構成したパートと記者たちが、独自の全国集計から政府による全国調査に至るまで、取材した家庭現場でのやり取りや迷いを描いたパートが交互に紹介されています。
本書を読んで思ったのは やはりヤングケアラーの発見と把握の難しさ、そして問題の複雑さではないでしょうか。
ただでさえ、子供たちの暮らしは見えづらいし自発的に SOS を出しにくいと思います。
また、古い価値観の大人たちは、少子高齢化やひとり親の増加のために家事をこなし、兄弟の面倒を見ている子供を親孝行、面倒見がいい、家族の面倒を見るのは当たり前で片付けてしまっている風潮があります。
そのため子供たちは、心身が疲労し、成長、成熟の機会を犠牲にしているのです。
こうして挙げていくと、あまり良いところがないように思われますが、実際ヤングケアラーの子供達は前向きで、家事や生活のスキルを早くから身につけることや介護によって多様な人の存在に気づき、思いやりを育むなどの経験が今後の人生に大いに役立つというメリットもあります。
ケアマネにとっても大いに参考になると思うので、ぜひ一度手にしてほしい本です。
ヤングケアラーまとめ
大人の代わりに家族の介護や兄弟の世話を担う子供は昔からいましたが、ただそれに関しては、当たり前のこととして処理されていた時代背景があり、子供にも人権らしきものはありませんでした。
ただ、昔は問題だと思われていなかったヤングケアラー問題が、今やっと真剣に考えられるようになってきています。
これから社会を担っていく子供たちが、きちんと教育を受けられるように我々ケアマネジャーも協力していかなければいけないのではないでしょうか。
